現金及び預金 簿記3級

預金の種類と小切手の振り出しに関する仕訳

2021年11月1日

この記事では、日商簿記3級で出題される預金について解説します。

預金の種類

日商簿記3級で出題される預金の種類は、普通預金、定期預金、当座預金などがあります。

勘定科目は「普通預金」「定期預金」「当座預金」です。

預金は資産(貸借対照表の借方項目)であるため、増加した場合は借方に記入し、減少した場合は貸方に記入します。

 普通預金

普通預金とは、いつでも自由に資金の出し入れができる預金ことをいいます。

 

 定期預金

定期預金とは、預け入れから一定期間引き出せない預金のことをいいます。一般的に預入期間が長いほど利率が高くなります。

 

 当座預金

当座預金とは、企業や個人事業主などが手形や小切手の支払いを行うための無利息の預金のことをいいます。

金融機関と当座借越契約を締結することによって、残高が0円でも借入限度額までは支払いができますが、現金を引き出すには手形や小切手が必要なのでATMなどは使えません。

 

小切手の振り出し

小切手の振り出しの流れは次のとおりです。

step
当座預金口座への預け入れ

銀行に当座預金口座を開設し、現金を預け入れます。預け入れが完了すると銀行から小切手帳が交付されます。

 

step
小切手の振り出し

小切手の振り出しとは、小切手用紙に必要事項を記入して、相手方に渡すことをいいます。

 

step
小切手の呈示

相手方が小切手を銀行に呈示すると、小切手の代金が当座預金口座から引き落とされます。

 

仕訳パターン

小切手の振り出しに関する仕訳は下記のとおりです。

当座預金口座への預け入れ時

当座預金口座に現金100,000円を預け入れた。

借方 金額 貸方 金額
当座預金 100,000 現金 100,000

 

小切手の振り出し時

商品20,000円を仕入れ、代金として小切手を振り出した。

借方 金額 貸方 金額
仕入 20,000 当座預金 20,000

小切手を振り出したときに、当座預金勘定を減少させるのがポイントです。

 

相手方が小切手を呈示したとき

仕訳不要

小切手を振り出したときに当座預金勘定を減少させているため、仕訳は不要です。

 

他社が振り出した小切手を受け取った場合

小切手は支払い手段として使用できるので、当社が振り出した小切手が銀行に呈示されずに、当社に戻ってくることがあります。

当社が振り出した小切手を受け取った場合、当座預金の増加処理を行います。
現金勘定を使用しない点に注意してください。

<例題>
商品300,000円を売り上げ、代金として当社振り出しの小切手を受け取った。

借方 金額 貸方 金額
当座預金 300,000 売上 300,000

 

 

直ちに当座預金に預け入れた場合

他社振出しの小切手は通貨代用証券であるため、通常は現金勘定で処理しますが、受け取った小切手を直ちに当座預金に預け入れた場合は、当座預金勘定の増加として処理します。

<例題>
商品300,000円を売り上げ、代金として他社振り出しの小切手を受け取った。当社は受け取った小切手を直ちに当座預金に預け入れた。

借方 金額 貸方 金額
当座預金 300,000 売上 300,000

 

上記の仕訳は、下記の仕訳を合算したイメージです。

① 小切手の受取り時

借方 金額 貸方 金額
現金 300,000 売上 300,000

 

② 当座預金の預け入れ時

借方 金額 貸方 金額
当座預金 300,000 現金 300,000

 

③ ①+②

借方 金額 貸方 金額
当座預金 300,000 売上 300,000

①と②の仕訳を合算すると、①借方の現金勘定と②貸方の現金勘定が消去されるので、③の仕訳になります。
簿記検定では、現金勘定を使用せずに当座預金勘定を増加させます。

 

当社が振り出した小切手を受け取った場合

小切手は支払い手段として使用できるので、当社が振り出した小切手が銀行に呈示されずに、当社に戻ってくることがあります。

当社が振り出した小切手を受け取った場合、当座預金の増加処理を行います。
現金勘定を使用しない点に注意してください。

<例題>
商品300,000円を売り上げ、代金として当社振り出しの小切手を受け取った。

借方 金額 貸方 金額
当座預金 300,000 売上 300,000

 

小切手の振出しのまとめ

小切手の振出し時 「当座預金」の減少
小切手の受取り時 他人振出小切手の受取り 「現金」の増加
当社振出小切手の受取り 「当座預金」の増加

 

練習問題

設例1

水道代5,000円が普通預金口座から引き落とされた。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
水道光熱費 5,000 普通預金 5,000

水道代は水道光熱費勘定(費用)を使用します。

 

設例2

商品100,000円を仕入れ、代金として小切手を振り出した。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
仕入 100,000 当座預金 100,000

 

設例3

商品500,000円を売り上げ、代金として他社振り出しの小切手を受け取った。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
現金 500,000 売上 500,000

 

設例4

商品500,000円を売り上げ、代金として当社振り出しの小切手を受け取った。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
当座預金 ※1 500,000 売上 500,000

※1 当社振出しの小切手を受け取った場合は、現金勘定ではなく当座預金勘定で処理します。

 

設例5

商品500,000円を売り上げ、代金として他社振り出しの小切手を受け取った。当社は受け取った小切手を直ちに当座預金に預け入れた。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
当座預金 ※1 500,000 売上 500,000

※1 他社振出しの小切手を受け取り後、直ちに当座預金に預け入れた場合は、現金勘定ではなく当座預金勘定で処理します。

 

まとめ

  • 当座預金などは資産(貸借対照表の借方項目)であるため、増加した場合は借方に記入し、減少した場合は貸方に記入する。
  • 小切手の振出し時に当座預金勘定を減少させる。
  • 他社振出しの小切手を受け取った場合は、現金勘定を増加させる。
  • 他社振出しの小切手を直ちに当座預金口座に預け入れた場合は、当座預金勘定を増加させる。
  • 当社振出しの小切手を受け取った場合は、当座預金勘定を増加させる。

-現金及び預金, 簿記3級
-,