現金及び預金 簿記3級

現金過不足の仕訳【発見時、原因判明時、決算時の解き方】

2021年10月11日

記帳ミスや盗難などの理由により、金庫の中にある現金と帳簿上の現金勘定の金額が一致しない場合があります。

そのような事態が生じたときは、帳簿上の現金の金額を実際の金額に修正する必要があります。

この記事では、現金過不足について解説します。

 

現金過不足とは

現金過不足とは、何らかの理由で「実際の現金残高」と「帳簿(現金出納帳)の現金残高」が一致しない場合の差額のことをいいます。

現金過不足が生じた場合には、帳簿上の金額を実際の金額に調整する必要があります。

「帳簿の金額」を「実際の金額」に合わせるのがポイントです。

 

仕訳パターン

現金過不足の処理は下記のとおりです。

 

現金過不足の発見時

現金過不足が見つかったときに、帳簿の金額を実際の金額に合わせるための仕訳をします。

 

<例題>

現金の実際の残高を確認したところ10,000円であったが、帳簿残高は9,500円であった。

借方 金額 貸方 金額
現金過不足 500 現金 500

 

原因判明時

原因が判明したときに、現金過不足の金額を正しい勘定に振り替えます。

 

<例題>

現金過不足のうち400円は、消耗品費の記帳漏れ判明した。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 400 現金過不足 400

 

決算時

決算日になっても原因が判明しなかった場合は、現金の不足額を雑損失勘定(雑損勘定でもOK)に、現金の過大額を雑収入勘定(雑益勘定でもOK)に振り替えます。

 

<例題>

3月31日、決算日になっても現金過不足100円(借方残高)について、原因が判明しなかった。

借方 金額 貸方 金額
雑損失 100 現金過不足 100

最終的に現金過不足勘定はゼロになります。したがって、貸借対照表に現金過不足勘定が記載されることはありません。

 

練習問題

現金が不足しているケース

次の資料に基づき、仕訳を示しなさい。

 

(資料)
① 現金の帳簿残高は15,000円であったが、実際有高は13,500円であった。
② 原因について調べたところ、1,300円については交通費の記帳漏れであることが判明した。
③ 残額については、決算日になっても不明のままであった。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
現金過不足 1,500 ※1 現金 1,500

※1 実際有高15,000円-帳簿残高13,500円=1,500円

 

借方 金額 貸方 金額
交通費 1,300 現金過不足 1,300

 

借方 金額 貸方 金額
雑損失 200 ※1 現金過不足 200

※1 ①現金過不足1,500円-②現金過不足1,300円=200円

 

現金が過大しているケース

(資料)
① 現金の帳簿残高は15,000円であったが、実際有高は16,500円であった。
② 原因について調べたところ、1,300円については交通費の記帳漏れであることが判明した。
③ 残額については、決算日になっても不明のままであった。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
現金 1,500 現金過不足 1,500 ※1

※1 実際有高16,500円-帳簿残高15,00円=1,500円

 

借方 金額 貸方 金額
交通費 1,300 現金過不足 1,300

 

借方 金額 貸方 金額
現金 200 雑収入 200 ※1

※1 ①現金過不足1,500円-②現金過不足1,300円=200円

 

まとめ

  • 現金の実際有高と帳簿残高が一致しない場合の差額を「現金過不足」という。
  • 現金過不足の処理は「過不足の発見時」「原因判明時」「決算時」の手順で考える。
  • 過不足が見つかった場合は、帳簿の金額を実際の金額に合わせる。
  • 原因判明時に、現金過不足の金額を正しい勘定に振り替える。
  • 決算日になっても過不足の原因が不明な場合は「雑損失」または「雑収入」へ振り替える。

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