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当座借越の一連の流れを仕訳でわかりやすく解説【一勘定制と二勘定制の違いと比較】

小切手を振出した際、当座預金の残高不足による不渡りのリスクを考慮し、あらかじめ銀行と当座借越契約を締結することがあります。
当座借越契約とは、借越限度額までは当座預金残高を超える金額を引き出すことができる契約です。

この記事では、当座借越の一勘定制と二勘定制の違いについて解説します。

 

一勘定制と二勘定制の違い

一勘定制と二勘定制の違いは使用する勘定科目です。

① 一勘定制とは、当座勘定のみを使用する方法です。

一つの勘定で当座預金と当座借越のどちらも処理する点がポイントです。
当座勘定が借方残高のときは資産としての性格があり、貸方残高のときは負債としての性格があります。

② 二勘定制とは、当座預金勘定と当座借越勘定の2つの勘定を使用する方法です。

当座預金の残高がプラス(借方残高)のときは当座預金勘定(資産)で処理をし、当座預金の残高がマイナス(貸方残高)のときは当座借越勘定(負債)で処理する方法です。

 

一連の流れ:一勘定制と二勘定制の比較

① 3月20日、当座預金口座を開設し、現金500,000円を預入れた。

② 3月25日、買掛金600,000円を小切手を振り出して支払った。なお、当社は借越限度額1,000,000円の当座借越契約を締結している。

③ 3月31日、決算を迎えた。当座借越残高は100,000円であったため、借入金勘定に振り替えた。

④ 4月1日、 再振替仕訳をおこなった。

④ 4月5日、商品300,000円を売上げ、代金は当座預金口座に振り込まれた。

 

【解答・解説】
(単位:円)

一勘定制 二勘定制

3月20日

(借方) (貸方)
当座 500,000 現金 500,000
(借方) (貸方)
当座預金 500,000 現金 500,000

3月25日

(借方) (貸方)
買掛金 600,000 当座 400,000
(借方) (貸方)
買掛金 600,000 当座預金 500,000
当座借越 100,000

3月31日

前T/B

貸方:当座 100,000

・決算整理仕訳

(借方) (貸方)
当座 100,000 借入金 100,000

後T/B

貸方:借入金 100,000

B/S

流動負債:短期借入金 100,000

前T/B

貸方:当座借越 100,000

・決算整理仕訳

(借方) (貸方)
当座借越 100,000 借入金 100,000

後T/B

貸方:借入金 100,000

B/S

流動負債:短期借入金 100,000

4月1日

(借方) (貸方)
借入金 100,000 当座 100,000
(借方) (貸方)
借入金 100,000 当座借越 100,000

4月5日

(借方) (貸方)
当座 200,000 売上 200,000
(借方) (貸方)
当座借越 100,000 売上 200,000
当座預金 100,000

一勘定制では当座勘定のみを使用するので、マイナスの残高になっても当座借越勘定を使用しないのがポイントです。

上記の例では、決算整理仕訳で借入金勘定をしようしていますが、当座借越勘定を使用することもあります。簿記検定では、問題文の指示した勘定科目をしてください。

貸借対照表(B/S)の表示科目は、一勘定制でも二勘定制でも短期借入金で表示します。

 

まとめ

  • 一勘定制は当座勘定のみを使用する方法
  • 二勘定制は当座預金勘定と当座借越勘定の2つの勘定を使用する方法
  • 当座預金の残高がマイナスになった場合、貸借対照表の表示科目は一勘定制でも二勘定制でも短期借入金で表示する。

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