現金及び預金 簿記3級

小口現金とは?末日補給と初日補給の違いについて解説

小口現金制度とは、交通費や郵便料金などの日常的に発生する少額の支払いのために現金を用度係にあらかじめ渡しておき、用度係が現金による取引を行う方法をいいます。

定額資金前渡制度とは、一定期間(多くの場合1ヶ月)に必要な金額を事前に用度係に渡しておき、用度係から報告を受けた金額と同額の資金を補給する方法です。

資金の補給のタイミングは、一定期間の末日補給と初日補給があります。

 

貸借対照表の表示区分と表示科目

小口現金は貸借対照表(B/S)の「流動資産」に分類されます。
表示科目は「現金」または「現金及び預金」です。

小口現金は「現金」に含めて表示するので注意してください。

末日補給制と初日補給制の違い

末日補給制は、末日に支払報告を受けた後ただちに補給する方法です。
初日補給制は、末日に支払報告を受けた翌日に補給する方法です。

1ヶ月の定額資金前渡制度の場合、末日補給制は月末に補給をし、初日補給制は月初に補給します。

 

小口現金の一連の流れ

① 資金を前渡しした時
4月1日より定額資金前渡制度を採用することになり、用度係に小口現金として小切手100,000円を渡した。

借方 金額 貸方 金額
小口現金 100,000 当座 100,000

 

② 小切手の換金時
用度係は小口現金として渡された小切手100,000を銀行で換金した。

仕訳不要

会計係が行なった行為のみが仕訳の対象となるので、用度係の行為は仕訳の対象となりません。

 

③ 諸経費の支払い時
用度係は通信費2,000円、旅費交通費4,000円、消耗品費6,000円、雑費1,000円を小口現金から支払った。

仕訳不要

用度係の行為なので仕訳の対象となりません。

 

④ 支払いの報告を受けた時
4月30日に用度係より下記の4月中の小口現金の支払い報告を受けた。
通信費10,000円、旅費交通費30,000円、消耗品費5,000円、雑費7,000円

借方 金額 貸方 金額
通信費 10,000 小口現金 52,000
旅費交通費 30,000
消耗品費 5,000
雑費 7,000

用度係から支払いの報告を受けた時に費用を計上し、小口現金勘定を減らします。

 

⑤  小口現金の補給時

末日補給制

4月30日、支払報告書に基づいて、用度係へ52,000円の小切手を振り出して補給した。なお、当社は小口現金の補給について末日補給制を採用している。

借方 金額 貸方 金額
小口現金 52,000 当座 52,000

注意ポイント


末日補給制を採用しているので、4月30日に小口現金の補給の仕訳を行います。

 

初日補給制

5月1日、当社は支払報告書に基づいて、用度係へ52,000円の小切手を振り出して補給した。なお、当社は小口現金の補給について初日補給制を採用している。

借方 金額 貸方 金額
小口現金 52,000 当座 52,000

注意ポイント


初日補給制を採用しているので、5月1日に小口現金の補給の仕訳を行います。

まとめ

  • 小口現金は貸借対照表の「流動資産」に分類され、表示科目は「現金」または「現金及び預金」。
  • 会計係が行なった行為のみが仕訳の対象となる。用度係の行為は仕訳の対象とならない。
  • 定額資金前渡制度とは、一定期間に必要な金額を事前に用度係に渡しておき、用度係から報告を受けた金額と同額の資金を補給する方法。
  • 資金の補給のタイミングは、一定期間の末日補給と初日補給がある。

-現金及び預金, 簿記3級