広告 簿記3級

有形固定資産の購入時と売却時の仕訳・会計処理について解説

有形固定資産は、企業が営業活動を行うために長期間使用する物理的な資産であり、建物、車両、機械設備、土地などがその代表例です。

これらの資産は企業の財務諸表において重要な役割を担っており、購入時と売却時には正確な仕訳と会計処理が求められます。特に簿記初心者にとっては、購入時に発生する付随費用や、売却時の損益計算を理解することが重要です。

この記事では、有形固定資産の購入および売却時の仕訳と会計処理について解説します。

 

有形固定資産とは

有形固定資産とは、企業が営業活動のために長期的に使用する目的で所有する物理的な資産のことを指します。これには、事務所の建物、機械設備、営業車両、事務機器、さらに土地などが含まれます。これらの資産は、企業の日常業務において必要不可欠なものであり、企業の財務諸表において重要な役割を果たします。

具体的な例としては、次のようなものがあります。

有形固定資産の例

建物 事務所、オフィス、営業所、店舗、工場、倉庫、車庫など。
器具備品 パソコン、コピー機、FAX、テレビ、エアコン、事務用机など。
車両運搬具 営業用自動車、運搬車両など。
土地 事務所や店舗などの敷地(事業用地)、駐車場、資材置き場など。

有形固定資産は、貸借対照表の資産項目に記載され、購入時にはその取得価額が記帳されます。資産が増加すると借方に記入され、減少すると貸方に記入されます。重要なポイントは、購入目的が売却を目的としないものであり、長期的に使用されることです。

売却目的で購入したものは有形固定資産ではなく、商品の仕入れ(通常の商品売買の処理)となります。

「有形」固定資産ということは、「無形」固定資産もあるの?
あるよ。無形固定資産は日商簿記2級以上で出題されるよ。

 

簿記検定の注意点

有形固定資産は、様々な勘定科目が使用されます。簿記検定で解答する際は、問題文にある勘定科目を使用してください。

問題文に指示がない場合は、試算表に記載されているのと同じ勘定科目を使用してください。

 

購入時の処理方法

有形固定資産を購入する際には、その本体価格だけでなく、購入に関連するさまざまな付随費用も考慮し、取得原価として一括して計上します。付随費用には、手数料、運送費、設置費用などが含まれますこれらの費用を合算したものが、その有形固定資産の取得原価となります。

取得原価の計算式

取得原価=購入代価+付随費用

購入代価とは、有形固定資産の本体価格のことだよ。

<例題>
土地を10,000円で購入し、代金は手数料700円とともに普通預金口座から支払った。

借方 金額 貸方 金額
土地 10,700 ※1 普通預金 10,700

※1 10,000円+700円=10,700円

土地の購入代価10,000円と手数料700円を合わせた10,700円を土地勘定に計上します。

 

売却時の処理方法

有形固定資産を売却する際には、売却した金額と帳簿価額との差額を考慮して、売却損益を処理します。この差額がプラスであれば「売却益」、マイナスであれば「売却損」となります。

 

売却価額が帳簿価額より小さい場合(売却損):売却価額<帳簿価額

売却価額が帳簿価額を下回った場合、差額を「固定資産売却損」勘定として計上します。この場合、売却損は損益計算書の費用項目となり、借方に記入します。

<例題>

帳簿価額10,000円の土地を8,000円で売却し、代金は普通預金口座に振り込まれた。

借方 金額 貸方 金額
普通預金 8,000 土地 10,000
固定資産売却損 2,000 ※1

※1 10,000円-8,000円=2,000円

土地の売却価額8,000円を普通預金勘定に記入し、帳簿価額との差額2,000円を売却損として計上します。

「固定資産売却損」勘定ではなく、「土地売却損」勘定で処理することもあります。

 

 

売却価額が帳簿価額より大きい場合(売却益):売却価額>帳簿価額

売却価額が帳簿価額を上回った場合、差額を「固定資産売却益」勘定として計上します。この場合、売却益は損益計算書の収益項目として計上され、貸方に記入します。

例題:

<例題>

帳簿価額10,000円の土地を10,500円で売却し、代金は普通預金口座に振り込まれた。

借方 金額 貸方 金額
普通預金 10,500 土地 10,000
固定資産売却益 500 ※1

※1 10,500円-10,000円=500円

土地の売却価額10,500円を普通預金勘定に記入し、帳簿価額との差額500円を売却益として計上します。

「固定資産売却益」勘定ではなく、「土地売却益」勘定で処理することもあります。

 

練習問題

設例1

車両を800,000円で購入し、代金は手数料1,000円とともに普通預金口座から支払った。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
車両運搬具 801,000 ※1 普通預金 801,000

※1 800,000円+1,000円=801,000円

車両の購入代金800,000円と手数料1,000円を合計した金額801,000円を車両運搬具勘定に記入します。

 

設例2

期首に帳簿価額500,000円の車両を503,000円で売却し、代金は普通預金口座に振り込まれた。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
普通預金 503,000 車両運搬具 500,000
固定資産売却益 3,000 ※1

※1 503,000円-500,000円=3,000円

車両の売却価額503,000円と帳簿価額500,000円との差額3,000円を売却益として計上します。

 

まとめ

有形固定資産とは、企業が営業活動のために長期間使用する物理的な資産で、建物、車両、設備、土地などが該当します。

購入時には、購入代金に加え、運送費や設置費用などの付随費用を含めた取得原価を計上します。

売却時には、売却価額と帳簿価額との差額を「売却損」または「売却益」として処理します。

簿記学習において、これらの処理方法は基礎的で重要な部分です。正しい理解を深めることで、実務に役立つ簿記知識を得ることができ、企業の財務管理にも貢献します。

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