この記事では有形固定資産の購入時と売却時の仕訳について解説します。
有形固定資産とは
有形固定資産とは、営業活動のために長期にわたって使用するために所有している有形の資産のことをいいます。
建物、備品、機械設備、車両運搬具、土地などが有形固定資産に該当します。
有形固定資産は資産(貸借対照表の借方項目)であるため、増加すると借方に記入され、減少すると貸方に記入されます。
売目的で購入したものは有形固定資産ではなく、商品の仕入れ(通常の商品売買の処理)となります。
![](https://bokilabo.com/wp-content/uploads/2020/09/animal_stand_penguin-100x100.png)
![](https://bokilabo.com/wp-content/uploads/2021/10/usagi-300x300.png)
日商簿記3級で出題される有形固定資産は下記のとおりです。
有形固定資産の例示
建物 | 事務所、オフィス、営業所、店舗、工場、倉庫、車庫など。 |
器具備品 | パソコン、コピー機、FAX、テレビ、エアコン、事務用机など。 |
車両運搬具 | 営業用の自動車など。 |
土地 | 事務所や店舗、工場などの建物の敷地、駐車場、資材置き場など。 |
有形固定資産は、様々な勘定科目が使用されます。
簿記検定で解答する際は、問題文にある勘定科目を使用してください。
問題文に指示がない場合は、試算表に記載されているのと同じ勘定科目を使用してください。
購入時の処理方法
有形固定資産の購入時に、手数料や運送費、据付費などの付随費用が発生する場合があります。これらの付随費用は有形固定資産の取得原価に含めて処理します。
取得原価=購入代価+付随費用
![](https://bokilabo.com/wp-content/uploads/2020/09/animal_stand_penguin-100x100.png)
例題
土地を10,000円で購入し、代金は手数料700円とともに普通預金口座から支払った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 | 10,700 ※1 | 普通預金 | 10,700 |
※1 10,000円+700円=10,700円
売却時の処理方法
有形固定資産の売却時の帳簿価額と売却価額は異なる場合、固定資産売却損(費用)または固定資産売却益(収益)が発生します。
売却価額<帳簿価額
保有している有形固定資産の帳簿価額が売却価額よりも大きい場合には、両者の差額を固定資産売却損勘定で処理します。
固定資産売却損は費用(損益計算書の借方項目)であるため、増加した場合は借方に記入し、減少した場合は貸方に記入します。
例題
帳簿価額10,000円の土地を8,000円で売却し、代金は普通預金口座に振り込まれた。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
普通預金 | 8,000 | 土地 | 10,000 |
固定資産売却損 | 2,000 ※1 |
※1 10,000円+8,000円=2,000円
「固定資産売却損」勘定ではなく、「土地売却損」勘定で処理することもあります。
売却価額>帳簿価額
保有している有形固定資産の帳簿価額が売却価額よりも小さい場合には、両者の差額を固定資産売却益勘定で処理します。
固定資産売却損は収益(損益計算書の貸方項目)であるため、増加した場合は貸方に記入し、減少した場合は借方に記入します。
例題
帳簿価額10,000円の土地を10,500円で売却し、代金は普通預金口座に振り込まれた。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
普通預金 | 10,500 | 土地 | 10,000 |
固定資産売却益 | 500 ※1 |
※1 10,500円-10,000円=500円
「固定資産売却益」勘定ではなく、「土地売却益」勘定で処理することもあります。
練習問題
設例1
車両を800,000円で購入し、代金は手数料1,000円とともに普通預金口座から支払った。
【解答・解説】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
車両運搬具 | 801,000 ※1 | 普通預金 | 801,000 |
※1 800,000円+1,000円=801,000円
設例2
期首に帳簿価額500,000円の車両を503,000円で売却し、代金は普通預金口座に振り込まれた。
【解答・解説】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
普通預金 | 503,000 | 車両運搬具 | 500,000 |
固定資産売却益 | 3,000 ※1 |
※1 503,000円-500,000円=3,000円
まとめ
- 有形固定資産とは、営業活動のために長期にわたって使用するために所有している有形の資産のことをいう。
- 有形固定資産は資産(貸借対照表の借方項目)であるため、増加すると借方に記入され、減少すると貸方に記入される。
- 帳簿価額が売却価額よりも小さい場合には、両者の差額を固定資産売却損勘定で処理する。
- 帳簿価額が売却価額よりも大きい場合には、両者の差額を固定資産売却益勘定で処理する。