企業が有形固定資産を売却する際には、売却時における仕訳処理が必要です。売却した有形固定資産の帳簿価額を貸方に記入し、売却代金を借方に記帳します。売却価額と帳簿価額との差額は、『固定資産売却損』または『固定資産売却益』という勘定科目を使用して記入します。
また、期中に有形固定資産を売却した場合、売却時点までの減価償却費を月割りで計算して計上しなければなりません(1か月未満の期間は切り上げて計算します)。
『固定資産売却損』及び『固定資産売却益』は損益計算書上では特別利益・特別損失の区分に表示されますが、金額が僅少なものや毎期経常的に発生するものについては、営業外収益・営業外費用として計上することができます(企業会計原則注解・注12参照)。
具体例
例題1:売却損が発生するケース
期中に、取得価1,000,000円、前期末までの減価償却累計額600,000円、当期の減価償却費50,000円の機械を200,000円で売却した。売却代金は現金で受け取った。
仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 200,000 | 機械 | 1,000,000 |
機械減価償却累計額 | 600,000 | ||
減価償却費 | 50,000 | ||
固定資産売却損 | 150,000 |
売却時の帳簿価額は以下の通りです。
帳簿価額 = 取得価額(1,000,000円) - 減価償却累計額(600,000円) - 当期の減価償却費(50,000円) = 350,000円
帳簿価額350,000円 - 売却価額200,000円= 150,000円(売却損)
例題2:売却益が発生するケース
期中に、取得価1,000,000円、前期末までの減価償却累計額600,000円、当期の減価償却費50,000円の機械を370,000円で売却した。売却代金は現金で受け取った。
仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 370,000 | 機械 | 1,000,000 |
機械減価償却累計額 | 600,000 | 固定資産売却益 | 20,000 |
減価償却費 | 50,000 |
売却時の帳簿価額は次の通りです。
帳簿価額 = 取得価額(1,000,000円) - 減価償却累計額(600,000円) - 当期の減価償却費(50,000円) = 350,000円
売却価額370,000円 - 帳簿価額350,000円 = 20,000円(売却益)
まとめ
有形固定資産の売却時には、売却価額と帳簿価額との差額を『固定資産売却損』または『固定資産売却益』として仕訳に計上します。さらに、期中に売却した場合は、売却時点までの減価償却費を月割で計算し、1か月未満の端数期間は切り上げて計上することが求められます。
また、『固定資産売却損』及び『固定資産売却益』は特別利益・特別損失として表示されますが、金額が僅少であったり、毎期経常的に発生する場合には、営業外収益・営業外費用として計上することが可能です。