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総原価と製造原価の違いとは?計算方法と求め方をわかりやすく解説

ビジネスや会計の分野でよく使われる「原価」という言葉には、いくつかの異なる意味があります。その中でも、「総原価」と「製造原価」はしばしば混同されがちですが、実際には異なる概念です。会計や簿記を学ぶ上で、これらの違いを理解しておくことは、正確なコスト計算や財務管理において非常に重要です。

この記事では、総原価と製造原価の違いを明確にし、総原価の計算方法やその求め方に関する重要な項目についても詳しく解説します。

 

総原価と製造原価の違い

「原価」という言葉は広範な意味を持っていますが、特に「総原価」と「製造原価」の2つの概念には明確な違いがあります。これらを理解することで、会計処理やコスト計算の精度を高めることができます。

 

1.総原価とは?

総原価とは、製品を製造するためにかかった費用(製造原価)に加えて、製品の販売や企業運営に必要な費用を含んだ概念です。具体的には、製品の製造にかかる直接的な費用(材料費や労務費など)のほか、販売活動や企業運営に関連する費用が含まれます。

たとえば、製品の販売促進費用、営業部門の人件費、管理部門の事務費用などが総原価に該当します。総原価は、企業全体のコスト構造を把握する上で重要な指標であり、経営判断や価格戦略を考える上で欠かせない情報となります。

 

2.製造原価とは?

一方、製造原価は製品の製造に直接かかったコストを指します。これには、材料費、労務費、製造にかかる間接費(たとえば、工場の光熱費や機械の減価償却費用など)が含まれます。製造原価は、製品のコストを算出するために欠かせない基本的な指標です。

製造原価は、製品単位あたりのコストを求めるために計算され、製品の採算性や利益率を算出するための基礎となります。製造原価の適切な管理は、特に製造業において重要です。最適化することで、製品の競争力を高め、利益を最大化できます。

 

3.結論

このように、総原価と製造原価は、含まれる費用の範囲が異なります。総原価は製造原価に加え、販売費や一般管理費を含む企業全体のコストを示します。これに対して、製造原価は製品そのものを製造するためにかかる直接的なコストだけを含みます。

総原価、製造原価の図

 

総原価の計算方法とその求め方

総原価を求めるためには、製造原価に加えて販売費および一般管理費を含める必要があります。具体的な求め方は、次の手順で行います。

 

1.製造原価を求める(製造原価の計算式)

製造原価は、製品を製造するために直接かかった費用を合計したものです。これには、以下の3つの要素が含まれます。

  • 直接材料費:製品を作るために使用された材料費。たとえば、電子機器の部品費や家具の木材費など。
  • 直接労務費:製品を製造するために支払った作業員の給与や手当などの労働費用。
  • 製造間接費:直接材料費や直接労務費以外の製造関連コスト。たとえば、工場の光熱費や機械の減価償却費など。

製造原価の計算式は次の通りです。

製造原価 = 直接材料費 + 直接労務費 + 製造間接費

 

2.販売費および一般管理費を加える

次に、販売活動や企業運営にかかる費用を総原価に加算します。これらは製品の製造とは直接的に関係しませんが、企業運営には不可欠なコストです。具体的な項目には次のものが含まれます。

  • 営業部門の人件費:営業スタッフの給与や手当
  • 広告費:製品販売を促進するための広告費用
  • 管理部門の費用:経営陣の給与や事務所の維持費など

販売費および一般管理費を算出することで、企業全体の運営にかかるコストを把握できます。

 

3.総原価を求める(総原価の計算式)

総原価は、製造原価と販売費および一般管理費を合算したものです。計算式は次の通りです。

総原価 = 製造原価 + 販売費および一般管理費

この計算式を用いることで、製品の製造に直接かかるコストだけでなく、企業全体の運営費用も考慮した正確な総原価を算出できます。総原価を把握することで、価格設定や利益率の最適化、さらに効率的なコスト管理を実現する戦略が立てられます。

 

原価に含まれない項目(非原価項目)

総原価の計算では、いくつかの「非原価項目」に注意する必要があります。これらは原価に含めることができない費用です。主な非原価項目は以下の4つです。

  1. 営業活動に無関係な項目
    営業活動に関連しない費用(支払利息や借入金の返済費用など)は、原価に含めることができません。
  2. 臨時損失
    火災や地震など、異常な原因で発生した損失は原価に含めません。これらは損益計算書で「特別損失」として処理されます。
  3. 利益処分
    配当金など、企業の利益を株主に分配する費用は原価には含まれません。これらは企業の資本取引に該当します。
  4. 税金
    法人税や消費税などは原価に組み込まれません。税金は費用として計上されますが、原価の計算には含めません。

これらの非原価項目を正確に区別することで、企業のコスト計算をより正確に行うことができます。

 

まとめ

総原価は、製品の製造にかかる費用(製造原価)に加え、販売活動や企業運営に必要な費用を含んだ概念です。製造原価は製品そのものを作るための直接的なコストであり、総原価はそれに企業運営の費用を加えたものです。

また、原価に含まれない項目(非原価項目)として、営業外費用や臨時損失、利益処分、税金などがあります。これらを区別することで、より正確なコスト計算が可能となり、企業の財務管理や戦略的意思決定を支えることができます。

総原価を理解することは、企業運営において重要な指標であり、コスト削減や利益最大化に繋がる重要な要素です。財務管理や原価計算を深く理解し、ビジネスの効率化を図りましょう。

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