広告 簿記2級

【簿記2級】商業簿記と工業簿記の違いとは?

日商簿記2級には、商業簿記と工業簿記の両方が試験範囲です。

商業簿記は主に商品やサービスの取引を記録し、企業の財務状況を把握するための簿記です。一方、工業簿記は製造業に特化しており、製品の製造過程にかかる原価計算を行います。

これらの分野は、簿記2級の試験においてそれぞれ異なる内容で出題されます。

 

商業簿記とは?

商業簿記は、商品やサービスの取引を記録し、企業の財務状況を把握するための簿記の一つです。この簿記の目的は、商品を仕入れ、販売する過程での収益や費用を適切に記録し、最終的に企業の財政状況や経営成績を明確にすることにあります。

主に、小売業や卸売業、サービス業など、物品やサービスの取引を中心に行っている企業で使用されます。

商業簿記の基本的な流れは、商品の仕入れから売上までの取引を仕訳帳に記録し、それを総勘定元帳に転記していくというものです。

この過程を通じて、企業は日々の取引を正確に把握し、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を作成することができます。

商業簿記の特徴的な勘定科目には「仕入高」や「売上高」、「売上原価」などがあり、これらを基にした計算により、企業がどれだけ利益を上げているか、または損失を出しているかを示すことができます。

日常的な取引の記録と、期末に行う決算処理を中心に学習されるため、実務で必要な簿記の知識を身につけることができます。

 

工業簿記とは?

工業簿記は、製造業に特化した簿記の一種で、特に「原価計算」に重点を置いています。製造業では、商品を仕入れるだけでなく、製品を生産する過程において多くのコストが発生します。

そのため、工業簿記では、材料費、労務費、製造間接費など、製造過程にかかるコストを詳細に計算し、原価計算を行うことが求められます。

工業簿記の主な目的は、製品一つ一つにどれだけの原価がかかっているかを正確に算出し、それを経営判断や価格設定、コスト削減に役立てることです。具体的には、「仕掛品」や「製品」といった勘定科目を使用して、製造の各段階で発生するコストを追跡します。

また、工業簿記では、製造原価を算出するために、「直接費」と「間接費」に分類し、それぞれを管理します。直接費は特定の製品に直接関連するコストであり、間接費は複数の製品に関わるコストです。

このような詳細なコスト管理を通じて、企業は効率的な生産体制を整え、収益性の向上を図ります。

 

商業簿記と工業簿記の違い

商業簿記と工業簿記にはいくつかの重要な違いがあります。

 

1.対象業種の違い

商業簿記は主に商品を仕入れて販売する業種に適用され、商品の流通過程を記録します。一方、工業簿記は製造業に焦点を当て、製品の製造過程における原価計算を行います。

 

2.勘定科目の違い

商業簿記では「仕入高」や「売上高」、「売上原価」といった勘定科目が中心となりますが、工業簿記では「材料費」、「仕掛品」、「製品」など、製造に関わる科目が重要な役割を果たします。

 

3.原価計算のアプローチの違い

商業簿記では、商品の仕入れから販売までを記録し、損益計算を行いますが、工業簿記では、製品一つ一つにかかるコストを細かく追跡し、製造原価を正確に計算することに重点を置きます。

 

4.財務諸表の違い

商業簿記では、損益計算書を作成し、売上原価と売上高を使って売上総利益を算出しますが、工業簿記では「製造原価明細表」などを使って製造にかかるコストの詳細を明らかにします。

 

まとめ

商業簿記と工業簿記は、どちらも企業経営において重要な役割を担っていますが、その対象や計算のアプローチに大きな違いがあります。

商業簿記は、主に商品取引を記録し、企業の財務状態を把握するために使われるのに対し、工業簿記は製造業における原価計算を行い、製品のコスト管理を支えるために不可欠なツールです。

それぞれの簿記は、異なる業界や企業のニーズに合わせて学び、活用されます。

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