銀行振込で代金の支払いを行う際、振込手数料が発生します。
この振込手数料が誰の負担であるかを事前に決定し、それに基づいて適切な会計処理を行うことが重要です。
本記事では、振込手数料の負担者ごとに異なる仕訳方法を解説します。
振込手数料の負担者別処理方法
振込手数料の会計処理は、負担者によって異なります。
負担者 | 会計処理 |
---|---|
自社負担 | 振込手数料を「支払手数料」勘定で処理し、自社の費用として計上します。 |
取引先負担 | 取引先負担の場合、振込金額から手数料を差し引き、残額を振込む処理を行います。 |
具体例
自社負担の振込手数料
<例題1:自社負担・買掛金の支払い>
買掛金の支払期日が到来したため、当社は普通預金口座から仕入先の口座に300,000円を振り込んだ。なお、振込手数料550円は当社が負担することになっている。
仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
買掛金 | 300,000 | 普通預金 | 300,550 |
支払手数料 | 550 |
この場合、振込手数料は「支払手数料」として記帳し、通常の支払いの金額に550円を追加します。
<例題2:自社負担・売掛金回収>
本日、得意先に対する売掛金500,000円の回収期日が到来し、当社の普通預金口座に代金が振り込まれた。なお、振込手数料550円は当社が負担する取り決めとなっており、売掛金残高500,000円から振込手数料550円を差し引いた499,450円が当社口座に振り込まれている。
仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
普通預金 | 499,450 | 売掛金 | 500,000 |
支払手数料 | 550 |
振込手数料を自社が負担する場合は、上記の通り『支払手数料』勘定を使って記帳します。
売掛金の回収では、通常、掛代金と相殺され、残額が振り込まれるため、売掛金残高と実際の回収額との差額が『支払手数料』となります。
相手負担の振込手数料
<例題3:相手負担・買掛金の支払い>
買掛金の支払期日が到来したため、当社は買掛金300,000円を普通預金口座から仕入先の口座に振り込んだ。なお、振込手数料550円は取引先が負担する取り決めとなっており、そのため振込額から手数料を差し引いた残額が振り込まれた。
仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
買掛金 | 300,000 | 普通預金 | 300,000 |
取引先の口座に振り込まれた金額は、買掛金300,000円から振込手数料550円を差し引いた299,450円です。
取引先はこの金額と手数料550円を認識していますが、当社は振込手数料を負担しないため、仕訳には「支払手数料」を計上しません。
<例題4:相手負担・売掛金回収>
本日、得意先に対する売掛金500,000円の回収期日が到来し、当社の普通預金口座に代金が振り込まれた。なお、振込手数料550円は取引先が負担する取り決めとなっている。
仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
普通預金 | 500,000 | 売掛金 | 500,000 |
振込手数料は取引先負担となり、取引先は当社への支払金額500,000円とは別に、手数料550円を銀行に支払っています。したがって、当社は振込手数料を負担しないため、仕訳には「支払手数料」を計上しません。
まとめ
振込手数料の負担者が誰であるかを事前に確認し、それに基づいて適切な会計処理を行うことは、正確な財務管理において非常に重要です。
振込手数料の処理は負担者によって異なり、自社負担の場合は「支払手数料」として計上し、取引先負担の場合はその費用を計上せず、振込金額から手数料を差し引いて振り込むことになります。