小口現金出納帳は他の帳簿と比べて記入方法が少し複雑です。特に補給タイミングや帳簿の締め切り方の違いを理解することが大切です。
本記事では、即日補給と翌日補給の2つのケースに分けて、実際の記入方法をわかりやすく解説します。
小口現金出納帳は誰が記入するのか?
小口現金出納帳は、通常「小払係」が記入します。特に定額資金前渡法(インプレスト・システム)を採用している場合、小払係が経理課に支払報告を行う際に記入し、帳簿を締めます。また、小払係に渡す現金は「仮払金」ではなく、あくまで「会社の資金」として管理されます。
小口現金出納帳の記入方法
小口現金出納帳の記入方法を学ぶ際は、補給タイミングと帳簿の締め切り方をしっかり理解することが大切です。具体的な記入方法は、即日補給と翌日補給のケースに分けて解説します。
即日補給と翌日補給のタイミング
小口現金の補給方法には「即日補給」と「翌日補給」があります。
- 即日補給は、支払いが行われたその日に補充する方法です。
- 翌日補給は、支払いの翌営業日に補充する方法です。
「週末補給」や「月末補給」という言い方は、補給タイミングの特徴を表すことはありますが、正式な名称としては使いません。「即日補給」や「翌日補給」という用語が一般的です。
即日補給の記入方法
即日補給の場合、記入の流れは以下の通りです。
- 受入欄には、補給額を記入します。
- 日付欄には、補給や支払いが行われた日付を記入します。
- 摘要欄には、その内容を記入します。
- 支払欄には、支払った金額を記入します。
- 内訳欄には、支払った金額を記入します。
- 支払欄から内訳欄までの間に合計線(一重線)を引き、摘要欄に「合計」と記入します。そして、支払欄および内訳欄にそれぞれの合計金額を記入します。金額が一致することを確認した上で、内訳欄に締め切り線(二重線)を引きます。
- 受入欄には支払欄の合計額と同額を記入し、日付欄には月末の日付を記入します。摘要欄には「本日補給」と記入します。
- 月末の日付を再度記入し、摘要欄に「次月繰越」と記入します。支払欄には月末残高を記入します。「次月繰越」は赤字で書くことが推奨されていますが、黒字でも大丈夫です。簿記検定では黒字で記入します。
- 受入欄と支払欄に合計線(一重線)を引き、受入欄に受入金額の合計、支払欄に支払金額の合計を記入します。その後、受入欄、日付欄、支払欄、残高欄には締め切り線(二重線)を引きます。
- 受入欄に次月繰越金額と同額を記入し、日付欄には翌月1日の日付を記入します。摘要欄には「前月繰越」と記入します。
翌日補給(月末補給)の記入方法
翌日補給の場合も記入の流れは似ていますが、繰越金額と補給のタイミングが異なります。
- 受入欄には補給額を記入します。
- 日付欄には、補給や支払いが行われた日付を記入します。
- 摘要欄には、その内容を記入します。
- 支払欄には、支払った金額を記入します。
- 内訳欄には、支払った金額を記入します。
- 翌日補給のため、前月末日に小口現金の補給を行っていません。受入欄には前月の支払欄の合計額と同額を記入し、日付欄には当月1日の日付を記入します。摘要欄には「本日補給」と記入します。
- 支払欄から内訳欄までの間に合計線(一重線)を引き、摘要欄に「合計」と記入します。そして、支払欄および内訳欄にそれぞれの合計金額を記入します。金額が一致することを確認した上で、内訳欄に締め切り線(二重線)を引きます。
- 月末の日付を再度記入し、摘要欄に「次月繰越」と記入します。支払欄には月末残高を記入します。「次月繰越」は赤字で書くことが推奨されていますが、黒字でも大丈夫です。簿記検定では黒字で記入します。
- 受入欄と支払欄に合計線(一重線)を引き、受入欄に受入金額の合計、支払欄に支払金額の合計を記入します。その後、受入欄、日付欄、支払欄、残高欄には締め切り線(二重線)を引きます。
- 受入欄に次月繰越金額と同額を記入し、日付欄には翌月1日の日付を記入します。摘要欄には「前月繰越」と記入します。
- 受入欄に支払欄の合計額と同額を記入し、日付欄には翌月1日の日付を記入します。摘要欄には「本日補給」と記入します。
即日補給と翌日補給(月末補給)の違い
即日補給と翌日補給(月末補給)には、次の2点で違いがあります。
-
- 繰越金額
- 即日補給では、繰越金額は補給後の金額になります。
- 翌日補給(月末補給)では、繰越金額は前月に支払った金額を差し引いた額になります。
- 補給タイミング
- 即日補給は支払い後、その日のうちに補給されます。
- 翌日補給(月末補給)は月の終わりに補給されます。
- 繰越金額
この違いを理解し、正しい記入方法を覚えることが重要です。
まとめ
小口現金出納帳の記入方法は、補給タイミングと帳簿の締め方をしっかり理解することでスムーズに覚えられます。即日補給と翌日補給の違いをしっかり把握して、実際に記入してみましょう。