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簿記3級

売掛金の貸し倒れ時の仕訳方法3パターン【貸倒引当金の取り崩しと処理方法】

貸倒引当金とは、売掛金や受取手形、貸付金などの債権が回収不能になるリスクに備えて、あらかじめ回収不能の見込み額を計上しておく引当金です。これにより、企業は将来の貸倒れに備え、予測される損失額を事前に計上できます。

この記事では、前期以前に発生した売掛金や受取手形などの債権が貸倒れた場合の仕訳方法を解説します。貸倒引当金を設定している場合、設定していない場合、また設定額が不足している場合の会計処理の違いについても説明します。

 

前期以前の債権が貸し倒れた場合

前期以前に発生した売掛金や受取手形などが当期に貸し倒れとなった場合、仕訳方法は3パターンに分けられます。

  1. 貸倒引当金を設定している場合
  2. 貸倒引当金が不足する場合
  3. 貸倒引当金を設定していない場合

これらの処理方法について、以下で詳しく説明します。

 

貸倒引当金を設定している場合

前期に発生した売掛金や受取手形に対して貸倒引当金が設定されている場合、当期にその引当金を取り崩して貸倒れに充当します。

<例題>
前期に発生した売掛金30,000円が貸し倒れた。なお、前期末に売上債権に対して貸倒引当金50,000円を計上していた。

借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金 30,000 売掛金 30,000

この仕訳では、貸倒引当金を取り崩し、売掛金を減少させます。

 

貸倒引当金が不足する場合

前期末に設定した貸倒引当金が、実際に貸し倒れた債権に対して不足している場合は、不足分を貸倒損失として計上する必要があります。この場合、貸倒損失は「販売費及び一般管理費」に計上されます。

<例題>
前期に発生した売掛金30,000円が貸し倒れた。なお、前期末に売上債権に対して貸倒引当金20,000円を計上していた。

借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金 20,000 売掛金 30,000
貸倒損失 10,000

この仕訳では、貸倒引当金を20,000円充当し、不足する10,000円を貸倒損失として計上します。

 

貸倒引当金を設定していない場合

貸倒引当金が設定されていない場合は、貸倒損失を直接計上します。

<例題>
前期発生の売掛金30,000円が貸し倒れた。なお、貸倒引当金は設定していない。

借方 金額 貸方 金額
貸倒損失 30,000 売掛金 30,000

この仕訳により、貸倒損失を計上し、売掛金が回収不能であることを反映させます。貸倒損失は「販売費及び一般管理費」に計上されます。

 

練習問題

問題1

得意先A社が倒産し、前期発生の受取手形500,000円が貸し倒れた。なお、前期末に売上債権に対して貸倒引当金700,000円を計上していた。

借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金 500,000 受取手形 500,000

 

問題2

得意先A社が倒産し、前期発生の貸付金1,000,000円が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の設定はしていない。

借方 金額 貸方 金額
貸倒損失 1,000,000 貸付金 1,000,000

 

問題3

前期発生の売掛金100,000円が貸し倒れた。なお、前期末に売上債権に対して貸倒引当金70,000円を計上していた。

借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金 70,000 売掛金 100,000
貸倒損失 30,000

 

まとめ

貸倒れが発生した場合、仕訳方法は貸倒引当金の有無およびその設定額によって異なります。貸倒引当金を設定している場合は、引当金を取り崩して債権の貸倒れに充当し、不足分を貸倒損失として計上します。設定していない場合は、貸倒損失を直接計上します。

適切に貸倒引当金を管理することで、企業の経理処理が正確に行われ、財務諸表にも正しい影響を与えることができます。

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