今回の試験は全体を通してバランスの取れた良問揃いで、極端に易しすぎる問題や、完全な「捨て問」になるような超難問もほとんど見られませんでした。
特に原価計算以外の科目では、基本〜応用レベルの範囲で適度に得点を積み上げられる構成となっており、実力が素直に反映される内容だったといえるでしょう。
ボリューム配分もおおむね妥当で、時間配分もしやすい試験でした。
また、今回については配点調整は実施されない可能性が高いと思われます。
素点を基準にすると、合格率は少し高めになると予想されます。
ただ、近年の傾向からすれば驚くような数字ではなく、想定の範囲に収まるレベルだと思います。
それでは、科目別に詳しく見ていきましょう。
商業簿記
- 難易度:普通
- 分量:やや少なめ
- 目標点数:最低15点、できれば18点を狙いたい
今回の商業簿記では、連結会計が149回以来、実に7年ぶりに出題されました。
前回(第170回)では連結会計がまったく出題されなかったため、今回は「来る可能性が高い」と予想していた受験生も多かったようで、結果的にその読みが的中した形です。
出題論点は以下の通りで、どれも出題実績のある定番テーマでした。
- 段階取得に関する差損益
- 取得関連費用
- 連結税効果
- その他有価証券評価差額金がある場合の一部売却
- ダウンストリーム取引
特に、2期分の連結貸借対照表を提示するなど、受験生が得点しやすいような配慮も感じられる構成でした。
仕訳集計方式だと時間を要しますが、ダイレクト算定を用いれば40分以内で十分に完答圏を狙える内容です。
6割(15点)を確保しつつ、2〜3点を加点できるかが勝負どころでした。
アドバイス
連結会計は範囲が広い一方でパターン化もしやすいため、ダイレクト算定の習得が時短・高得点のカギとなります。
頻出論点をしっかり押さえて、落とせる問題を確実に取りにいきましょう。
会計学
- 難易度:CF計算書以外は易しめ
- 分量:標準的
- 目標点数:準備次第で20点も可能。CF計算書を切っていた場合は12〜14点ほど。
第1問:理論
(1)の株式引受権は落としても問題なし。 (2)〜(5)はテキスト掲載レベルの基本用語なので確実に取りたいところです。
第2問:個別キャッシュ・フロー計算書
第107回以来、20年以上ぶりの個別CF計算書が登場しました。 内容自体は基本問題で構成されていたため、テキスト例題をこなしてきた受験生には得点源だったはずです。
ただし久しぶりすぎる論点であるため「完全に切っていた受験生」を直撃したともいえるでしょう。
仕入割引や賞与引当金、社債利息の扱いなど、細部の処理で差がついた可能性があります。
第3問:市場販売目的ソフトウェア
こちらは典型的な基本問題。 無形資産の償却に関する「均等償却との比較」の部分のみ問われ、難易度は低めでした。
アドバイス
CF計算書は出題頻度が低いものの、一度出れば得点差がつく重要テーマ。
理論はテキスト太字レベルを固め、計算問題は「資料読み落としを防ぐ力」が鍵となります。
工業簿記
- 難易度:やや易しめ
- 分量:標準的
- 目標点数:最低17点、20点を狙いたい
今回の工業簿記は、典型的な部門別計算がベースで、応用的な論点として以下が出題されました。
- 補助部門の外部購入を想定した場合の計算
- 自家消費を考慮した連立方程式法
特に、外部購入の論点は119回のリバイバルともいえる内容で、過去問をやり込んでいた受験生は有利でした。
一方、連立方程式法を自家消費込みで計算する必要があり、慣れていないと時間を取られた可能性もあります。
アドバイス
基本論点を取りこぼさないことが最優先。
応用部分は部分点を積み重ねる意識で臨みましょう。
多少の計算ミスがあっても、全問が細かく配点されるため大きく崩れにくい構成です。
原価計算
- 難易度:易しい
- 分量:少なめ
- 目標点数:満点を狙えるレベル(ミスがあれば17〜18点)
原価計算は、第1問〜第4問すべてが基本〜標準問題で構成されており、しっかり準備していれば満点も十分可能でした。
主な出題内容
- 第1問:新規投資(テキスト例題レベル)
- 第2問:取替投資(基本問題)
- 第3問:節税効果を無視した取替投資(パターン変更でやや戸惑う可能性)
- 第4問:NPVで最も有利な投資案の選択(瞬殺レベル)
また、問題文の最後に年金現価係数表が掲載されていたため、場所に気づかず電卓計算してしまった受験生は大きく失点した可能性があります。
アドバイス
今回のように難易度が比較的やさしい原価計算は、確実に得点を積み上げたい最重要科目です。
問題文の指示を一つひとつ丁寧に確認し、資料の配置や注意書きなど、細部までしっかりチェックする姿勢が求められます。
ケアレスミスさえ防げば満点も十分に射程圏内です。
落とせない科目だからこそ、慎重な判断と正確な処理を心がけましょう。
まとめ
今回の試験は、科目ごとに難易度の強弱はあるものの、全体としては非常にバランスの取れた構成でした。
商業簿記では連結会計が久しぶりに出題されるサプライズがある一方、工業簿記・原価計算は比較的取り組みやすい内容で、基本をしっかり固めてきた受験生にとっては得点しやすかったと思われます。
特に原価計算はボリュームも少なめで、満点も現実的であり、ここで差がついた可能性があります。
科目ごとに「確実に取るべき問題」と「深入りしない問題」を見極める力が、今回も合否を大きく左右したと言えます。
全体的には素直な出題が多かったため、基礎を丁寧に積み上げてきた受験生が好成績を残しやすい試験でした。