今回の試験では、商業簿記と会計学において難易度の高い問題が出題されました。一方、工業簿記と原価計算は比較的易しい内容が多く、全体的にバランスが取れた印象です。
商業簿記では基本的な論点の理解が試され、会計学では難解な問題が多く、応用力が重要とされました。問題量は少なめで、解きやすい問題も多かったものの、細かい部分の知識や学習の積み重ねが問われる問題もありました。
以下に、各科目ごとの評価とアドバイスをまとめました。
商業簿記
- 難易度: 普通
- ボリューム: 普通
- 目標点数: 20点(最低ラインは15点)
本問は難易度やボリュームともに標準的であり、実力を測る上でも、今後の学習用教材としても優れた問題です。作問側にとって、難しすぎず易しすぎずのバランスが取れており、受験生の実力を反映させやすい良問となっています。
アドバイス
商業簿記の試験では、基本的な論点を確実に押さえることが最も重要です。特に返品権付き販売や受注ソフトウェア開発などの基本的な問題を解けるようにしておきましょう。
計算量が少なくても、処理方法をきちんと理解し、問題文から必要な情報を的確に読み取ることが求められます。
難易度の高い問題や細かい論点(例えば、税効果会計や外貨建債券など)は、他の問題で確実に点数を取るために捨て問として扱う戦略も有効です。
退職給付会計や中間配当などの易しい問題は確実に得点し、基礎力をしっかり固めておくことが大切です。
全体的に、焦らず冷静に問題を解き、部分点も意識して得点を積み重ねていきましょう。
会計学
- 難易度: 高
- ボリューム: 普通~大
- 目標点数: 15点(最低ラインは10点)
本問は難易度が高く、特に第2問の連結会計(在外子会社・包括利益)は非常にチャレンジングです。ただし、学習用教材としては有益な良問です。
第1問でのノーミスがカギとなり、特に理論問題でしっかり得点を積み上げることが重要です。第2問は難解ですが、基本的な理解と解答戦略があれば対応可能です。
アドバイス
会計学の試験では、まず第1問で確実に得点することが基本です。特に「会計上の見積りの変更」など細かな表現に注意を払い、基本的な論点を押さえることが重要です。
第1問の理論問題は比較的易しめの内容ですが、わずかな表現ミスが致命的な場合もあるため、丁寧に書くことが求められます。
第2問は連結会計に関する高度な知識が問われる部分であり、仕訳暗記ではなく、企業統合の本質的な理解が必要です。
仕訳を使わずに財務諸表を構築するアプローチを取ることが有効です。特に、「連結財務諸表の当期純利益」「非支配株主に帰属する当期純利益」「包括利益」など、計算量は多いものの、着実に得点を積み上げていくことが求められます。
難易度の高い問題に時間を費やしても得点に繋がらない場合があるため、無理に取り組まず、他の問題で確実に得点を取る戦略が大切です。
焦らず冷静に問題を解き、部分点も意識して得点を積み重ねていきましょう。
工業簿記
- 難易度:易しい
- ボリューム: 普通
- 目標点数: 20点
第1問
語群選択形式で出題され、元帳の名称や計算過程について言語化して問われました。この形式は、教科書に載っている基本的な内容に加え、その状況に応じた処理を判断できるかを試す問題です。直感で解ける部分もありましたが、実際に計算の背景を理解しているかが試された問題と言えます。
第2問
直接原価計算と全部原価計算の比較問題でした。計算自体は非常に平易で、異なる計算方法で結果にどんな違いが生じるのかを問われました。これに関しては、各計算方法の基本的なポイントをしっかり押さえていることが重要です。
アドバイス
今回は、商業簿記や会計学が難易度高めだったため、工業簿記や原価計算は比較的解きやすかったと感じます。しかし、解きやすいからこそ計算だけに注目しがちですが、計算過程をきちんと理解し、自分の言葉で説明できるようにしておくことが大切です。計算の裏付けとなる根拠を忘れずに確認しておきましょう。
原価計算
- 難易度:易しい
- ボリューム: 少ない
- 目標点数: 22点
第1問
戦略的原価計算に関する正誤問題でした。内容自体は比較的簡単で、戦略的原価計算の基本的な理解が問われました。特に、LCC(ライフサイクルコスト)のトレードオフ関係は、品質原価計算でも関連するので、他の手法との関連も意識して学習しておくことをお勧めします。
第2問
単純総合原価計算の問題で、計算自体は難しくなかったものの、異常仕損費の会計処理についての理解が問われました。異常仕損品の発生原因を理解し、その根拠を基にした解答が必要でした。これに関しては、問題を解くだけでなく、会計処理の理論をきちんと学習しておくことが大切です。
アドバイス
今回の試験は、問題量が少なかったため、1つのミスが大きく響きやすかったです。特に計算に注力しすぎると、会計処理の根拠を問う問題に対して解答できなくなってしまう可能性があるので、計算問題を解く際は常に理論を意識することが大切です。
日々の学習においては、計算の背後にある理論をしっかり理解し、理論に裏打ちされた計算ができるように努めましょう。
まとめ
今回の試験は、商業簿記と会計学が難易度の高い問題が多く、特に会計学では応用力が求められました。商業簿記では基本的な論点の理解が重要で、計算方法や処理方法をしっかり把握することが求められました。
会計学は理論の表現や連結会計に関する本質的な理解がカギとなり、特に第2問は高度な知識が必要でした。一方、工業簿記と原価計算は比較的易しく、計算問題の理解と理論的背景を意識することで得点がしやすかったです。
試験全体では、基本的な知識と応用力のバランスが試され、得点を確実にするためには冷静に取り組み、部分点を意識して解答することが重要です。