試験問題そのものは良問揃いでしたが、各科目ごとの難易度にばらつきがあり、戦略的な対応力が問われる試験となりました。
特に商業簿記は難易度・ボリューム共に高く、対照的に工業簿記や原価計算では得点しやすい設問が多く見受けられました。
また、連結会計が出題されなかった点は大きなサプライズでした。
過去の出題傾向を振り返っても、極めて珍しく、対策を重ねてきた受験生にとっては戸惑いがあったかもしれません。
商業簿記
- 難易度: 高め
- 分量: 多め(計算量・問題文ともにヘビー)
- 目標点数: 13〜14点
商品売買に関連する設問は、割賦販売・未着品販売を絡めた複合的な問題で、原価率の推定まで求められる内容でした。
手がかりが少なく、途中で見切る判断も必要な設問構成で、かつて頻繁に出題されていたタイプの出題形式が復活した印象です。
一方で、減価償却、為替予約、新株予約権付社債、資産除去債務などは基本的な知識が問われ、テキストレベルの出題も多くあり、基礎力があれば得点につながる内容でした。
アドバイス
難易度の高い問題に無理に取り組まず、「捨て問」と割り切る判断が重要です。
その分、得点源となる基本問題で確実に点を重ねていきましょう。
特に、商品売買と連動する貸倒引当金や保証引当金の処理には注意が必要です。
これらをまとめて捨てる場合、失点箇所が広がる可能性があるため、慎重な判断が求められます。
なお、商業簿記については配点調整が入る可能性もあるため、自己採点がギリギリでも合格の可能性は十分にあります。
会計学
- 難易度: 普通(理論やや難、計算やや易)
- 分量: 標準的
- 目標点数: 18点以上
第1問は理論問題で、細かい知識を問うやや難問でした。普段の学習の中で用語や表示を押さえておくことが重要です。
第2問の減損会計は、のれんを含むより大きな単位で減損を測定する問題でした。
共用資産での出題に慣れていた受験生にとっては一部戸惑う部分があったかもしれませんが、基本的な構造は共通で、得点を狙いやすい内容でした。
第3問の工事契約では、収益認識基準に関連する論点が盛り込まれ、契約資産・負債の表示に注意が必要な場面もありましたが、全体的にはテキストレベルでの出題が中心でした。
アドバイス
理論に特化した対策よりも、計算学習の中で用語や定義を意識することで得点力を高めましょう。
減損や工事契約など、頻出テーマの基本をしっかり固めておくことが重要です。
工業簿記
- 難易度: 易しめ
- 分量: 少なめ(読みやすいが計算箇所は多い)
- 目標点数: 20点以上
標準原価計算を中心とした出題で、165回と同様のパターン問題も含まれていました。
文章の読み取りがやや煩雑な箇所もありましたが、全体的には取り組みやすい構成でした。
混合差異やロットサイズ変更時差異、ノイズとなる差異など、ややマイナーな論点も登場しましたが、解けなくても大きな影響はなかったと考えられます。
アドバイス
全体的に易しい設問が多く、得点源になった科目です。
確実に20点を超えることを目標に、見慣れない論点は深追いせず、基本で着実に得点を狙いましょう。
問題数が25問と多いため、ミスが全体の点数に響きにくい設計です。
原価計算
- 難易度: 第1問やや難、第2問は易しめ
- 分量: 普通
- 目標点数: 20点
第1問は業務的意思決定会計の出題で、全体は3問構成でした。
問1は、直接原価計算の損益計算書を指示通りに作成する基本的な問題で、確実に得点したい内容です。
問2・問3は、計算自体はさほど難しくないものの、前提条件や設問の情報量が多く、すべてを正確に読み取り、計算へ反映する慎重さが求められました。
細かな条件の読み落としやケアレスミスによって、思わぬ失点につながる可能性がある問題だったといえるでしょう。
今回のように、操業度に応じて条件が変化するスタイルの意思決定問題は、近年ではあまり見られません。
かつて出題頻度の高かった形式が、久しぶりに復活した印象です。
第2問の事業部制では、収益性分析や投下資本の扱いなど、基礎的な論点が中心でした。
一部に注意を要する設問もありましたが、丁寧に条件を読み解けば十分に対応できる内容でした。
アドバイス
問題文の条件整理が鍵となるため、設問ごとの指示を正確に読み解きましょう。
理論面の設問では、指示の曖昧さに惑わされず、ロジックに基づいた判断を心がけることが重要です。
まとめ
商業簿記に高い難易度が設定されていた一方、工業簿記や原価計算は取り組みやすい出題が多く、メリハリのある試験構成となりました。
連結会計の出題が無かった点など、従来の傾向に反する部分も見られました。
各科目で「取るべき問題」と「無理に解かない問題」を見極めることが合否を分けた要因といえるでしょう。
特に商業簿記は配点調整の可能性も高く、思ったより点が伸びる可能性もあります。
難問に気を取られすぎず、基本を重視した戦略で安定した得点を狙いましょう。