有形固定資産とは、物理的な形態を持つ固定資産のことを指します。
これには、「建物」「構築物」「機械装置」「車両運搬具」「工具器具備品」などが含まれ、それぞれの種類に応じて適切な勘定科目を選んで記帳します(対照的に、無形固定資産は物理的な形態を持たない資産で、例として特許権や営業権があります)。
固定資産購入時の記帳方法
固定資産を購入した際には、その本体価格に加えて、関連する費用(例えば、買入手数料、運送費、据付費など)も含めて固定資産勘定に記帳します。
具体例
<例題>
事務所用のコピー機を500,000円で購入した。また、購入に伴い運送費5,000円、設置費用2,000円が発生した。これらの費用はすべて現金で支払った。
仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
工具器具備品 | 507,000 | 現金 | 507,000 |
ここでは、コピー機に関連するすべての費用(本体価格、運送費、設置費用)を「工具器具備品」勘定に含めて記帳しています。
固定資産の取得価額に含めないことができる費用
法人税基本通達(7-3-1の2、7-3-2、7-3-3の2)では、固定資産の取得価額に含めない費用が明記されています。例えば、自動車や不動産取得時の税金は「租税公課」として処理し、車検費用などは「支払手数料」として処理します。
なお、これらは実務上の取り決めであり、簿記検定の受験生の方は、問題文の指示に従って適切に処理を行ってください。
固定資産の取得価額に算入しないことができる費用の例示
7-3-3の2 次に掲げるような費用の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産の取得価額に算入しないことができる。(昭50年直法2-21「19」により追加、昭55年直法2-8「二十一」、平23年課法2-17「十四」により改正)
(1) 次に掲げるような租税公課等の額
イ 不動産取得税又は自動車取得税
ロ 特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの
ハ 新増設に係る事業所税
ニ 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用
(2) 建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用の額
(3) 一旦締結した固定資産の取得に関する契約を解除して他の固定資産を取得することとした場合に支出する違約金の額
注意点
個人事業主の場合は、「業務用資産の取得のために要した借入金の利子(所得税基本通達37-27)」および「取得費等に算入する借入金の利子等(所得税基本通達38-8)」を参照してください。