固定資産を自社で製造する際(これを自家建設と呼びます)、適切な原価計算基準に基づいて製造原価を算出し、その結果をもとに取得原価を決定します。
具体的には、固定資産の製造にかかる材料費、賃金、製造経費などを集計し、これらを取得原価として計上します。
これにより、建物や機械など各固定資産の勘定で記帳が行われます。
さらに、製造に必要な資金を借入金で調達した場合、その借入金の利息のうち、固定資産が稼働を開始するまでの期間に対応するものは、固定資産の取得原価に含めることができます(連続意見書第三)。
具体例
<例題>
自社の業務で使用する機械を自作した。この機械の製造にかかった費用は、材料費500,000円、賃金300,000円、製造経費200,000円である。また、この固定資産の製造に必要な資金は借入金で調達し、固定資産が稼働を開始するまでに支払った利息10,000円を現金で支払った。
1.支払利息を期間費用として扱う場合
仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
機械 | 1,000,000 | 材料仕入 | 500,000 |
支払利息 | 10,000 | 賃金 | 300,000 |
製造経費 | 200,000 | ||
現金 | 10,000 |
2.支払利息を取得原価に含める場合
仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
機械 | 1,010,000 | 材料仕入 | 500,000 |
賃金 | 300,000 | ||
製造経費 | 200,000 | ||
現金 | 10,000 |
上記の仕訳において、『機械』の勘定科目は、決算時に固定資産が製造中の場合などには『建設仮勘定』を使用することに留意してください。
実務上の注意
法人税基本通達7-3-1の2では、固定資産を取得するために借り入れた借入金の利息について、たとえ当該固定資産の使用開始前の期間にかかるものであっても、これを取得価額に算入しないことができると規定しています。
実務的には、このような利息は期間費用として処理するのが一般的です。
また、法人税基本通達7-3-1の2(注)では、借入金の利息を建設中の固定資産に係る建設仮勘定に含めた場合、その利息は固定資産の取得価額に算入されたことになると規定しており、決算時に当該利息を建設仮勘定で処理した場合、その利息は完成後の固定資産の取得原価を構成することになります。
個人事業主の固定資産取得における借入金の利息の取扱いについては、所得税基本通達37-27、38-8をご参照ください。