ETC(イーティーシー)を利用して高速道路や有料道路を走行した際には、支出を「旅費交通費」勘定で記帳します。
なお、ETCの場合、料金は後日クレジット決済されるため、利用時点では料金の支払いが行われません。
そのため、支払いが行われるまでの間、「旅費交通費」勘定の相手勘定として「未払金」勘定(負債勘定)を使用して記帳することになります。
本記事では、ETCの利用に関する仕訳方法や消費税の取り扱いについて解説します。
勘定科目
ETCで高速道路や有料道路の料金を支払った場合、主に「旅費交通費」勘定を使用します。
ETCの場合は料金が後日クレジット決済となるため、支払い時に「未払金」勘定を使用することが特徴です。以下に、ETC利用時の処理方法を示します。
科目 | 内容 |
---|---|
旅費交通費 | ETC利用時の高速道路料金や有料道路料金などを支払うための費用 |
未払金 | 後日にクレジット決済されるため、支払い時には未払金として処理する |
これらの支出は、ETC利用後に発生するクレジット決済に合わせて処理します。仕訳を適切に行うことで、経理処理が円滑に進みます。
消費税の取り扱い
高速道路の通行料金は消費税法の課税対象となり、ETC利用時には消費税が含まれます。
以前は、ETC利用時のクレジットカード明細書では仕入税額控除を受けることができませんでしたが、電子帳簿保存法の変更により、特定の条件を満たす場合はクレジットカード利用明細書だけで控除を受けることが可能になりました。
- 証明書のダウンロードが必要な場合
ETC利用証明書をダウンロードする必要があるのは、ETC利用照会サービスで証明書をダウンロードできる期間(15ヶ月間)を超えた場合や、利用の間隔が長く空いた場合です。
この場合、証明書をダウンロードして保存する必要があります。
また、複数の高速道路会社等を利用している場合は、各社ごとに証明書を保存することが求められます。 - クレジットカード利用明細書だけで仕入税額控除を受けられる場合
ETC利用照会サービスで証明書がダウンロードできる期間内に、同じ高速道路会社等を繰り返し(15か月に1回以上)利用している場合、証明書はいつでもダウンロード可能なため、ETC利用証明書のダウンロードは不要です。
この場合、クレジットカード利用明細書のみを保存することで、仕入税額控除を受けることができます。
具体例
<例題1>
当社の社員が取引先を訪問するために、社用車で高速道路を利用した。この際に利用したETC料金は2,000円で、後日、クレジット決済により引き落とされる予定である。
仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
旅費交通費 | 2,000 | 未払金 | 2,000 |
<例題2>
例題1のETC料金2,000円が、後日、普通預金口座から引き落とされた。
仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
未払金 | 2,000 | 普通預金 | 2,000 |
まとめ
ETCを利用して高速道路を走行した場合、支出は「旅費交通費」勘定で記帳され、後日クレジット決済されるため、支払いまでの間は「未払金」勘定を使用します。
消費税が含まれるため、仕入税額控除を受ける際には、ETC利用証明書の保存方法に注意が必要です。
証明書のダウンロードは、利用間隔が長く開いた場合や15ヶ月以上経過した場合に必要であり、繰り返し利用している場合はクレジットカード利用明細書のみで仕入税額控除が可能です。